アヒルと鴨のコインロッカーを読んだ
読書の秋だと世間一般的に言うが僕的には読書は春が1番読みやすいと思う。読書の春の方が相応しいじゃないか?と思う
さて、今更ながら伊坂幸太郎の「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んだ
どんでん返しのミステリーは前々から大好きで知り合いからオススメを聞いた際に「本屋強盗のやつ 面白いよ」と聞いたので
・あらすじ
椎名という大学生の現在の物語と琴美という女性の2年前の物語が同時に描かれる、カットバック形式の小説。
椎名は引っ越し先のアパートの隣人・河崎に「本屋で広辞苑を盗まないか」と誘われる。断りきれなかった椎名は本屋から広辞苑を奪う手伝いをさせられてしまう。その計画の後、河崎やペットショップの店長をしている麗子から2年前の話を聞かされることになる。
2年前の物語は琴美、その恋人であるキンレィ・ドルジ(ブータン人)、河崎、麗子を中心に展開する。世間で多発しているペット惨殺事件の犯人たちに出会ったことにより、琴美が目を付けられてしまう。琴美は何度も襲われるが、ドルジや河崎に助けられ、逆に犯人たちを捕まえようとする。
2年前の事件と現在の本屋襲撃が次第につながっていく。(Wikipediaより)
物語がカットバック式にコロコロ変わるので先ずは各目線の物語から感想を書いていく
・各物語の感想
椎名目線の物語はどこか静かで淡々と時が進んで行き、物語を通してミステリアスな河崎の正体と本屋襲撃の真相を追うといういかにも小説らしいファンタスティックな物語だった 。語り手椎名がネガティブ思考?というか思ってることをあまり口に出さない物静かな大学生なので良い意味で静かな雰囲気が出ていて非常に気持ちの良い雰囲気だった。
次に2年前の琴美目線の物語 琴美目線の話は椎名の静とは反対に常にハラハラした″ペット殺し″の恐怖に脅かされるサスペンスと琴美、留学生のブータン人 、ドルチによる不思議な三角関係が描かれており、2つの物語の″恐怖と焦り″が細かく描写されおもしろかった。
そんなふたつの物語 二年前と今が繋がりの隣人河崎の正体と2年前の悲しい事件、本屋強盗の目的が明らかになる…
・河崎という人物
椎名の物語に登場する河崎は一貫してミステリアスな雰囲気を醸し出しているが、2年前の琴美、ドルチとの物語は現在のミステリアスな河崎とは違ったどこか子供らしいというか憎めないやつといった部分が出ていて2つの物語を合わせて河崎という人物を補充していくような形が取られている。 でもこれが今回の物語のミソ ネタバレなので多くは語らないが 本当によく出来ていた。
・最後に
久しぶりに濃いミステリーを読んだ。 こんな名作を見逃していたとは ボブ・ディランの風に吹かれてを何十回も聴いた。